群馬県医療施設間の細菌情報ネットワークの構築

細菌学講座と薬剤耐性菌実験施設はインターネットが普及する以前に群馬県内の基幹9病院の検査部と協力し、各施設の臨床分離株の薬剤感受性試験結果をまとめ群馬県内の耐性菌分離状況として情報を共有してきた歴史があります(群馬県病原微生物情報研究会)。その後、インターネットの普及や厚生労働省が行っている院内感染対策サーベイランス(JANIS)の活動もありしばらくの間、活動がありませんでした。しかし、JANISでは個々の病院が自分たちの状況と全国の状況との比較は出来ますが地域の傾向を知ることは出来ません。また、問題となる多剤耐性菌が増加してきたことから耐性菌としての判定が困難な株が検査室でも多々現れるようになってきました。そこで、大学を中心とした地域の基幹病院との間にネットワークを構築し地域の情報をまとめることにより、地域における耐性菌情報を共有することが出来ると考えます。また、検査室での判定が困難な株については大学が解析を行い、結果をフィードバックすることによりそれぞれの病院における今後の検査が円滑に進むための一助になればと考えます。

その結果として地域における感染症や薬剤耐性菌の情報を共有することができ、耐性菌の出現やアウトブレイクに対して適切にかつ迅速に対応できると考えます。また、定期的に情報を交換することにより薬剤耐性菌に関する知見を互いにアップデートすることが期待されます。